大利根カントリークラブ 西コース
高低差がなく変化が出しずらい中で毎ホール新鮮な気持ちでプレーできる絶妙のレイアウトとホール構成を堪能する
大利根カントリークラブの特徴は、東西36ホールの高低差が僅か3メートルに過ぎないことだ。3メートルの高低差の中にコースが広がっていながら名コースと言われる由縁は、やはり名匠・井上誠一氏の設計によるところが大きい。
大利根CCは1960年(昭和35年)の開場だが、工期は半年足らずだった。当時の井上氏は設計家として最も忙しい時期で、1956年(昭和31年)から1961年(昭和36年)の5年間に、札幌ゴルフ倶楽部輪厚コース、龍ヶ崎カントリークラブ、武蔵カントリークラブ豊岡コースなど8コースを開場させた。その超多忙な時期に半年足らずの工期で大利根CC36ホールを同時に開場させることができたのは、用地がまったく平坦だったからに他ならない。しかしそれは反面、必然的に似通ったホールが幾つもできかねない難しい状況でもあった。井上氏自身、「ほとんど変わらない環境だから各ホールの変化のつけようもなく、酷評を覚悟している」と知人への手紙に書いていたという。
40万坪近い、松と杉の巨木が林立している用地に挑んだ井上氏の36ホールのコースは、当然、全体的にはフラットな林間コースというイメージだが、絶妙のレイアウトとホール構成によって、毎ホール新鮮な気持ちでティーグラウンドに立てる。変化のつけようもないことを承知していたからこそ、むしろ多少でも変化をつけようと最善を尽くしたのだろう。だからこそ、ジャック・ニクラウスが、「廣野と並ぶ良いコース。特にレイアウトの良さに感心した」と絶賛したに違いない。
西コース18ホールは7,65ヤード(レギュラーティーからは6,397ヤード)・パー72で、コースレートは73.5(レギュラーティーから70.3)と東コースより0.1だけ高い。西コースでは東コースに先んじて1971年(昭和46年)にナショナルオープン選手権の第4回「日本女子オープン選手権」が開催され、実力者の樋口久子プロが優勝したこともあって憧れのコースになった人も少なくない。
西コースの真骨頂は、10番から14番までの5ホールだ。10番は401ヤード(レギュラーティーから372ヤード)11番は506ヤード(レギュラーティーから490ヤード)、12番は175ヤード(レギュラーティーから128ヤード)、13番は555ヤード(レギュラーティーから499ヤード)、14番は448ヤード(レギュラーティーから406ヤード)というように、パー4、パー5、パー3、パー5、パー4というように同じパーホールが続いていない。ここにも井上氏の工夫の跡がうかがえて楽しい。
基本情報
設計者 | 井上 誠一 |
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全長 | 7065ヤード(Champ Tee) |
ホール数 | 18 |
パー | 72 |
コースレート | 73.5(Back Tee) |
形状 | 林間 |
グリーン | ベント&コーライ |
練習場 | 250ヤード、16打席 |
コースレイアウト
※AG(Aグリーン・ベント)OUT | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
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PAR | 4 | 4 | 4 | 3N | 5 | 3 | 4 | 4 | 5D | 36 |
HDCP | 7 | 15 | 1 | 17 | 5 | 9 | 13 | 3 | 1 | |
BACK | 399 | 386 | 414 | 164 | 503 | 225 | 419 | 459 | 559 | 3528 |
REG | 373 | 357 | 371 | 131 | 483 | 185 | 387 | 409 | 506 | 3202 |
IN | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
PAR | 4 | 5 | 3N | 5D | 4 | 4 | 3 | 4 | 4 | 36 |
HDCP | 14 | 8 | 16 | 6 | 2 | 18 | 10 | 4 | 12 | |
BACK | 401 | 506 | 175 | 555 | 448 | 376 | 234 | 435 | 407 | 3537 |
REG | 372 | 490 | 128 | 499 | 406 | 352 | 186 | 393 | 369 | 3195 |