世界的名設計家と日本を代表する名設計家が手掛けた、戦略性の高さと景観の美しさを併せ持つ歴史ある名門コース
霞ヶ関CCが名門と言われる由縁は枚挙にいとまがない。歴史的には、東コースが昭和4年(1929年)、西コースが昭和7年(1932年)に開場。日本で初の36ホールのゴルフ場が昭和一桁台に誕生していた。
設計は、東コースが赤星四郎氏、藤田欽哉氏らが担当したが、開場の翌年に訪れた英国の世界的名設計家C.H.アリソン氏によって改造工事が行われた。西コースは藤田欽哉氏が設計した。しかし当時のコースは戦時下に陸軍に接収されるなどして昭和20年(1945年)に閉場。敗戦後は米軍によって接収され、荒れ果てたコースは昭和27年(1952年)に東コースの復旧工事が完成。西コースの復旧は、現在日本を代表する名設計家として知られる井上誠一氏の設計管理の基に行われ、昭和29年(1954年)になって、現在の36ホールのコースとして生まれ変わった。つまり、東コースには世界的名設計家のC.H.アリソン氏、西コースには日本を代表する名設計家の井上誠一氏が関わっているのである。
霞ヶ関CCの価値をいっそう高めたのは、昭和32年(1957年)に開催された第5回「カナダカップ」の開催コースとなったことだった。「カナダカップ」は現在の「ワールドカップ」の前身で、昭和27年(1952年)に国際ゴルフ協会がゴルフを通して国際親善を推進しようとする目的で開催され、モントリオール(カナダ)、ケベック(カナダ)、ワシントン(アメリカ)、ロンドン(イギリス)に次いで、日本で開催されることになった。
この大会でまったくノーマークだった中村寅吉プロ、小野光一プロの日本チームが団体優勝、中村プロが個人優勝、小野プロも5位に入り、テレビ中継されたこともあり、日本に第1次ゴルフブームをもたらしただけでなく、世界的にも名声をとどろかせることになった。
当然ナショナルオープンも開催され、日本屈指のチャンピオンシップコースとしての存在感を誇示している。「カナダカップ」開催前年の昭和31年(1956年)には西コースで「日本オープン」の第21回大会が開催され、中村寅吉プロが2位の小針春芳プロに8打差の通算3アンダー285で優勝した。さらに平成7年(1995年)には東コースが「日本オープン」の第60回大会の舞台となり、伊沢利光プロがプロ初勝利を挙げた。その4年後の平成11年(1999年)には東コースで「日本女子オープン」の第32回大会が行われ、村井真由美プロが優勝している。平成18年(2006年)には、ベント芝の1グリーンに改造された西コースで、3度目となる第71回「日本オープン」が開催され、1グリーン化によって一段と高まった戦略性の高さが注目された。
霞ヶ関CCはどのホールもチャレンジングだが、とくに心して臨むことをお勧めするのは、東コースは10番パー3。OLD GREENのチャンピオンシップティーが177ヤード、レギュラーティー、フロントティー、レディースティーが156ヤード。松の枝がティーグラウンドとグリーンとの間に平がる池に身を投げるように映る箱庭のように美しい池越えのパー3で、グリーン手前にはC.H.アリソンのアドバイスによって設けられた、身長より深い「アリソンバンカー」が口を空けている。平成7年(1995年)に開催された「日本オープン」最終日は185ヤードのセッティングだったが、尾崎将司プロがティーショットをこのバンカーに入れ、2回脱出に失敗して優勝争いから退いた。
西コースでは13番のパー5。チャンピオンシップティーが513ヤード、レギュラーティーが494ヤード、フロントティーが473ヤード、レディースティーが420ヤードと、距離的にはむしろやさしく感じるパー5だが、ティーグランド右前方の池からグリーン左サイドにかけて小さな川が流れている。フェアウェイを斜めに小川が横切っているレイアウトになっているため、それぞれのプレーヤーの飛距離によってしっかりと第2打を打って行かないと思わぬ大叩きをするおそれもあるが、的確な判断ができればバーディーチャンスも生まれる。関東ではなかなかお目に掛かれない小川がフェアウェイを横切るホールでメモラビリティ-(印象度)も高く、景観の美しさにも心を奪われる。
基本情報
設計者 | 赤星四郎、藤田欽哉(東コース) 井上誠一(西コース) |
---|---|
全長 | 13866ヤード |
ホール数 | 36 |
パー | 108 |
コースレート | 73.2 |
形状 | 林間 |
グリーン | 1ベント |
練習場 | 250ヤード(20打席) |
メタルスパイク | 不可 |
コースレイアウト
東OUT | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
PAR | 4 | 4 | 4 | 3 | 5 | 4 | 3 | 4 | 5 | 36 |
HDCP | 9 | 15 | 3 | 13 | 1 | 7 | 11 | 5 | 17 | |
Back | 400 | 382 | 424 | 155 | 535 | 378 | 211 | 466 | 554 | 3505 |
Reg | 374 | 366 | 393 | 136 | 505 | 359 | 188 | 443 | 540 | 3304 |
Front | 360 | 348 | 367 | 126 | 483 | 337 | 169 | 416 | 493 | 3099 |
東IN | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
PAR | 3 | 4 | 4 | 4 | 5 | 4 | 3 | 4 | 4 | 35 |
HDCP | 16 | 10 | 4 | 14 | 2 | 8 | 12 | 6 | 18 | |
Back | 177 | 436 | 464 | 379 | 595 | 424 | 174 | 356 | 472 | 3477 |
Reg | 156 | 398 | 442 | 341 | 543 | 384 | 163 | 342 | 441 | 3210 |
Front | 156 | 383 | 419 | 311 | 518 | 360 | 143 | 320 | 414 | 3024 |
西OUT | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
PAR | 4 | 4 | 5 | 3 | 4 | 5 | 3 | 4 | 4 | 36 |
HDCP | 9 | 15 | 3 | 13 | 7 | 1 | 11 | 5 | 17 | |
Back | 408 | 341 | 502 | 163 | 372 | 557 | 224 | 403 | 414 | 3384 |
Reg | 392 | 325 | 478 | 150 | 348 | 546 | 209 | 390 | 377 | 3215 |
Front | 376 | 303 | 429 | 133 | 326 | 537 | 191 | 379 | 351 | 3025 |
西IN | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
PAR | 5 | 3 | 4 | 5 | 4 | 5 | 3 | 4 | 4 | 37 |
HDCP | 10 | 16 | 4 | 8 | 14 | 2 | 12 | 6 | 18 | |
Back | 542 | 205 | 381 | 513 | 361 | 552 | 144 | 380 | 425 | 3503 |
Reg | 520 | 185 | 368 | 494 | 348 | 539 | 128 | 371 | 412 | 3365 |
Front | 495 | 171 | 354 | 473 | 336 | 529 | 128 | 361 | 396 | 3243 |