茨城ゴルフ倶楽部 東コース
日本オープンを知り、開催コースの影の努力を知る。
2012年10月14日、「震災復興支援グリーン・ティー・チャリティー2012年度(第77回)日本オープンゴルフ選手権」が、沖縄県の那覇ゴルフ倶楽部で開催された。昨年大会プレーオフの末に惜敗した久保谷健一プロが逆転で日本オープン初優勝を果たしたのは、ご記憶に新しいのではないか。
「全英オープンゴルフ選手権」や「全米オープンゴルフ選手権」をご覧になればお分かりのように、ナショナルオープンゴルフ選手権は、その国を代表する戦略性の高いコースを有する名門倶楽部が舞台となる。
そんな大会が開催されるゴルフ倶楽部は一体どんな条件が整っているのか。ラウンドされる前に、そのゴルフ場の影の努力、そしてゴルフ場の状態を十分に理解しラウンドしてほしい。
日本オープンのため、最高のワングリーンを目指して。
茨城GC東コースでは過去、2004年「日本シニアオープンゴルフ選手権」や「キリンオープンゴルフ選手権」「ダンロップオープンゴルフ選手権」など幾多のトーナメントが開催され、チャンピオンシップコースとして位置付けられてきたが、2013年の日本オープン選手権の開催に向けては、同倶楽部が2012年に開場50周年を迎えることもあって、今まで2グリーンだった東コースを1グリーンに改造した。
日本オープン」は歴史と格式ある最高峰のトーナメントであり、その舞台に相応しい整備とセッティングが求められることから、主催する日本ゴルフ協会は遅くとも向こう3年の開催コースを決定している。
その選考に選ばれるためにも、舞台となる東コースの1グリーン化を行い、戦略的な改造を行ったのです。従来の2グリーンを1グリーンにするのですから、いっけん大幅な改造には思えないかもしれないが、この改造でスコアメイクの鍵を握るグリーンとグリーン周りがまったく新しいものになるため、見た目以上に綿密に設計された。
美しく整えられた東コースは、更に難易度が増している。

18ホールの総ヤーデージも、7134ヤードから7341ヤードに伸長された。極端な話、ピンの位置やグリーンから逆算していくとティショットの狙いどころまで変わってくるのだから、プレーヤーにとってはまったく新しいコースに生まれ変わっている。
1グリーンになったことで各ホールはピリッと締まり、しかも文字通りにポテトチップ状のグリーンはフェアウェイから小高くなっていて、ピンが立っているテラス(面)に乗せないと非常に難しいパットが残ることに。
また、1グリーン化に伴って、現在では最高級品種の「007」というベント芝が採用され、すべてにおいてベストの舞台が着々と整っている。 ここまでのゴルフ場の影の努力があり、最高峰のトーナメント「日本オープン選手権」が開催されることになっている。ぜひ一度そのコース状態や設計を感じながら、最高のゴルフを楽しんでいただきたい。
広いフェアウェイに安心してはいけない難ホール。名物ホール16番の攻略方法を探る。
東コースの各ホールはそれぞれ特徴があって、どのホールも印象的である。
中でも16番パー4は、その代表的なホールとなるため、今回は16番の攻略方法を探っていく。


ティーグラウンドから望むホールは、フェアウェイが広々としていて思い切ってティーショットを打っていけるように思ってしまうが、グリーンのフロントエッジまで250ヤード地点をボトムとして、フェアウェイは窪地になっている。

フェアウェイセンターに250ヤードのドライバーショットを打てたからといって安心はできない。
その先に1本の松の木があり、ピンの立っている位置によってはピンと松の木が重なることもあり、インテンショナルフックやスライスを打たないとグリーンを捉えることはできない恐れが生じてしまうからだ。
松の木の右サイドにティーショットを落とすとグリーンを広く使えるが、そのルートのグリーン手前にはバンカーがあり、松の木の左からは花道を狙ってのショットとなるから多少は楽だが、左を狙いすぎると左の林が邪魔になるというように、ティーショットの落としどころは狭くなっていく。
グリーンはハート形に近い形状で、手前部分の左右にはバンカーが配されている。特に右手前のバンカーは上り斜面の途中に造られていることもあってグリーン面に対して深くなっている。グリーンは右奥から左手前にかけての傾斜が強く、右奥にカップが切られている時以外は、右に乗せると難しいラインのパッテイングを余儀なくされてしまう。広々としたホールだが、パーを取るには緻密な戦略と正確なショットが求められるコースとなっている。罠にひっかからないコースマネージメントを行い、無事攻略できた時は今までにない達成感が味わえるだろう。
ワングリーン後の魅力を味わってほしい。
基本情報
設計者 | 上田治 |
---|---|
全長 | 7135ヤード(Champ Tee) |
ホール数 | 18 |
パー | 72 |
コースレート | |
形状 | 林間 |
グリーン | ベント1グリーン |
練習場 | 295ヤード、20打席 |
コースレイアウト
※AG(Aグリーン・ベント)OUT | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
PAR | 5 | 3 | 4 | 4 | 4 | 3N | 4 | 4 | 5 | 36 |
HDCP | 9 | 15 | 3 | 7 | 1 | 13 | 17 | 11 | 5 | |
CHAMP TEE | 528 | 240 | 461 | 395 | 410 | 190 | 389 | 421 | 517 | 3551 |
REG | 445 | 145 | 355 | 295 | 305 | 134 | 292 | 357 | 420 | 2748 |
IN | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
PAR | 4D | 4 | 4 | 3 | 4 | 5 | 4 | 3 | 5 | 36 |
HDCP | 4 | 16 | 10 | 14 | 8 | 2 | 12 | 18 | 6 | |
CHAMP TEE | 442 | 445 | 398 | 184 | 405 | 531 | 434 | 223 | 522 | 3584 |
REG | 366 | 340 | 329 | 107 | 360 | 445 | 350 | 148 | 421 | 2866 |
東コースの特徴
「とにかく長い」というのが、東コースでプレーした一般ゴルファーの声。3番、5番、8番、10番、14番、16番と余程のロングヒッターでないとアイアンでの2オンが難しいミドルホールが続き、ショートホールもすべて長い。
プロの攻め方を見ていると、「ロングでバーディーを狙い、ショートでパーキープ、ミドルでも手堅く」という傾向がわかる。プロにとっては距離が短くグリーン周りにさしたる障害物がない4つのロングホールが、わずかに「やさしさ」を垣間見せるのだろう。
しかし、アマチュアにとっては、「ドライバーを本気で飛ばし、アプローチで名人芸を披露し、しかもグリーンで考えなくてはならない、挑戦しがいのあるコース」という印象が強いようです。